
風邪をひくと色々な症状が起こります。例えば、のどの痛みや鼻水・鼻づまり、発熱などがあり、その中に悪寒を挙げる人もいるでしょう。風邪をひいたからと言って、いつも悪寒を感じるわけではありませんが、悪寒を感じる風邪をひくこともあります。しかし、悪寒を感じた時に熱を測ってみても、高熱ではないことも多いものです。
では、なぜ風邪をひくと悪寒を感じることがあるのでしょうか。風邪をひくと悪寒を感じる理由を紹介します。
悪寒とは?

悪寒(おかん)とは、全身がぞくぞくとするような病的で不快な寒気のことを指します。発熱初期に感じるもので、震えが伴うこともあります。気温が下がった時などに健康な人が寒気を感じるというものとは異なり、室温が十分暖かい場合でも悪寒は生じます。
症状が強い場合には、悪寒戦慄(おかんせんりつ)とも呼ばれています。悪寒の後には38℃以上の高熱が続くことも多くあります。
発熱による悪寒の原因
風邪のウイルスが身体の中に侵入する時は、鼻や口の粘膜から侵入してきます。この時に、ウイルスを排除しようとする反応として、くしゃみが起こります。しかし、くしゃみで防げなかったウイルスは、身体の中で増殖し始めます。身体はこれを退治するために免疫細胞を投入します。さらに、38度以上の高温に弱いウイルスに対して体温を上げて対抗します。
身体は体温を上げる時に、せっかく上げた体温を外に逃さないために、体表部の毛穴をしっかり閉めます。同時に体表部の血管も閉じますので、肌の血流が低下し、それが悪寒となって現れます。また、体表部の血流が阻害されていなくても、ウイルス侵入によって体温が急上昇することにより、急に外気温が通常より3度以上寒く感じるようになり、悪寒が起こる原因となっています。
のどの痛みによる悪寒の原因
風邪の症状の一つに、のどの痛みがあります。のどの痛みは、のどに炎症が起こっている状態です。身体のどこかに炎症がある場合にも、悪寒が起こります。
炎症が起きているということは、ウイルスだけでなく、細菌などの菌が原因になっていることがほとんどです。炎症原因となる細菌を退治しようと免疫機能が働きます。その免疫の働きを助けようとして反応して体温が上昇します。それが悪寒となります。
ちなみに、のどの炎症以外でも、気管支炎や肺炎、腸炎などの炎症や、免疫力の低下、ストレスなどによっても、同様に悪寒が起こります。
悪寒戦慄が起こる原因
通常の風邪の場合は、軽い悪寒が短期間見られることがあります。しかし、インフルエンザの場合には急に強い悪寒に襲われ、その症状が続きます。急な悪寒の症状に加えて身ぶるいや震えが起こることを悪寒戦慄と言います。
悪寒戦慄が起こる原因は、急性の感染症に対して身体が対処しようとして筋肉を動かすことで体温を上げようと、脳から指令が出ているからなのです。悪寒の後には38度以上の高熱が出ることが多く、意識がはっきりしていることが特徴です。強い毒性をもったウイルスや細菌などの感染による刺激や、体内の免疫機能の活性化による刺激などで悪寒を伴う急な高熱が出ることがあります。
微熱があるときの悪寒の原因
微熱の時に悪寒がするという人は多いです。しかし、悪寒がするからと言って必ずしも風邪とは断定することはできません。もっと重大な病気の初期症状が隠れていることも多々あります。風邪に似た病気としては、ノロウイルスや急性気管支炎、肺炎、溶連菌感染症などがあります。
微熱があるときの悪寒の原因となる代表的な病気に、急性気管支炎があります。激しい咳や痰で息苦しくなり、微熱と悪寒が感じられます。
また、悪寒と共に微熱が2週間以上続くようなら結核の可能性が考えられます。初期症状ははっきりしておらず、咳や痰が続いてなんとなく体調が悪いといった程度で風邪の初期症状とよく似ています。症状が長期間続くようなら、医師にきちんと診てもらいましょう。
まとめ:風邪ウイルスや細菌を退治するため、結果的に悪寒が起こる
風邪をひくと悪寒が起こる理由には2通りあります。一つは、風邪の原因となるウイルスが体内に侵入してきた時に、それを退治するために体温が上昇しますが、その際、できるだけ体温が外に逃げないように毛穴を最大限閉めます。すると、肌の血流が悪くなって悪寒が現れます。また、体温が上がることで外気温が寒く感じられて悪寒が起こるとも言われています。
もう一つは、のどの痛みなどの炎症を起こしている細菌を退治しようとして、体温が上がり、結果的に悪寒を感じます。
風邪をひいた時の悪寒は、身体が風邪に打ち勝とうとしている証拠と言えます。
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